1・2時限講義:京都議定書とポスト京都議定書

第2学期-第1、2回講義要約
日時:2008年4月5(土) AM9:00
講師:熊本大学 大学院自然科学研究科 田中昭雄 先生

講義題目  京都議定書とポスト京都に向けた環境政策


1.京都議定書

1-1  京都議定書発効までの歴史
・1972 年 ローマクラブ「成長の限界」出版
   『人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば100年以内に地球上の成長は限界に達すると警鐘を鳴らした。』
・1972年6月に採択された国際連合人間環境会議
・1992年6月 リオデジャネイロで地球サミット
・1994年3月 枠組み条約発効
・1995年3月 枠組み条約第1回締約国会議(COP1)をベルリンで開催
・1997年12月 枠組み条約第3回締約国会議(COP3)を京都で開き、京都議定書を採択
・2001年3月 米ブッシュ政権が京都議定書からの離脱を表明
      7月 枠組み条約第6回締約国会議(COP6)再開会合をボンで開き、京都議定書の
          運用ルールで合意
・2002年6月 日本が京都議定書を批准
          8、9月 持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルクサミット)
          を開催 ブッシュ米大統領は参加せず
・2004年11月 ロシアが京都議定書批准
・2005年2月  京都議定書発効へ
・2007年12月  COP13 開催(於:バリ島)



1-2 京都メカニズム(数値目標を達成するための補助的手段)
 海外で実施した温室効果ガスの排出削減量等を、自国の排出削減約束の達成に換算
 することができるとした柔軟性措置。
  ・クリーン開発メカニズム(CDM )
 ・排出取引
 ・共同実施
 これに加え
 ・吸収源活動
 が京都議定書の特徴。

1-3 COP3直後の見通しと現状



2. ポスト京都議定書

2-1  ポスト京都議定書( Post-Kyoto Protocol) とは
 京都議定書の削減対象期間である2008年~2012年以降の、世界の温室効果ガス削減の枠組みとして議論されている 気候変動枠組条約の議定書。

2-2 世界的な動き
 ・現在協議や議論が進んでいる途中で、内容や枠組みの目処は立っていない。
 ・現行の京都議定書の路線の引き継ぎ方が争点の1つ
   今後大幅に増加する途上国や中国が参加しない可能性、米国も不透明
   京都メカニズムの取り扱い
   国際協調炭素税などの新手法
   削減数値目標の決め方
 ・経済発展を阻害しない新目標手法の模索

2-2  POST 京都を見据えた我が国の動き
 ・ 新国家エネルギー戦略
 ・ イノベーション25 戦略会議
 ・ 美しい星
 ・cool  earth  
 ・長期エネルギー需給見通し(2008 年3 月)
 ・ 途上国への技術支援
 ・ セクトラルアプローチ (「セクター別アプローチ」とも言う)



2-3 セクトラルアプローチ(セクター別アプローチ)とは
 ・産業セクター別にエネルギー効率や(エネルギー源単位≒エネルギー効率の重要な指標)
  などの目標を定めて温室効果ガスの削減に取り組むもの
 ・長所
   ・経済成長を阻害しない
   ・省エネの取り組みを促す
   ・大量排出国の米国だけでなく、中国やインドなどの経済成長が著しい途上国も参加しやすい
 ・ 短所
   ・総CO2排出量は増大する可能性がある
   ・目標値設定、指標の計算方式の信頼性

2-4 セクトラルアプローチの種類
① 完全セクトラルアプローチ
 国内のGHG排出量を全て部門別に分類 (産業であれば、鉄鋼、セメント、紙・パルプ、石油化学など、民生部門で は自動車、各種家電製品など )し、各部門別に目標となるエネルギー原単位またはGHG排出原単位を設定 する
② 部分的セクトラルアプローチ
 信頼性の高いデータが得ら れる鉄鋼・セメント・電気など一部のエネルギー多消費産業や転換部門に限定し、それらを国家の数値目標から切り離すという制度
③ 部分的セクトラルアプローチ+CDM
 ②に加え、国家の数値目標から切り離された一部のエネルギー多消費産業については、ベンチマークなどの分かりやすい原単位指標を作成した上で、上記ベンチマーク以上の技術を移転する場合に、これを煩雑な審査なくCDMと認める。
④ 国家の数値目標
 セクトラルアプローチを国家の数値目標設定の裏づけとして利用すること
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/res/res5/ir3s/documents/matsuhashi.pdf


まとめ 




・ 京都議定書は、環境問題を全地球規模で行動する機会となったということで意義は大きい
 ・ ポスト京都は、セクトラルアプローチ方式が一歩リードしているが、圧倒的優勢ではない。
 ・ 先進国だけの環境運動では、2050 年の二酸化炭素50 %削減は不可能である

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